
72の法則は1494年の書物にも登場する - 厳密な倍化年数との誤差
「72 ÷ 年利%」で、一定利回りの元本が約何年で2倍になるかを暗算する方法が72の法則です。たとえば年利6%なら約12年、年利8%なら約9年です。複利計算の感覚を短時間でつかめますが、あくまで一定利回りを仮定した近似であり、毎年変動する投資収益や返済中のローン残高を予測する式ではありません。
公式と1494年の記録
倍化年数の近似 = 72 ÷ 年利%
ルカ・パチョーリの『Summa de Arithmetica』は1494年に刊行され、複利で元本が倍になる期間を利率から求める規則を含む書物として紹介されています。原本の書誌情報とデジタル画像は米国議会図書館やスミソニアン図書館で確認できます。
72は2、3、4、6、8、9、12などで割り切れるため暗算しやすい数です。ただし「なぜ72が選ばれたか」という歴史的な意図まで原文だけから断定することはできません。
年複利の厳密式
年利を小数で r、倍化年数を t とすると、年1回複利では次の式になります。
(1 + r)^t = 2
t = ln(2) ÷ ln(1 + r)
名目年利5%なら厳密値は約14.21年で、72の法則は14.4年です。月複利や日次複利では1年あたりの複利回数が増えるため、厳密値も変わります。名目年利5%なら月複利は約13.89年、日次複利は約13.86年です。
金利別の誤差
| 年利 | 72の法則 | 年複利の厳密値 | 相対誤差 |
|---|---|---|---|
| 2% | 36.00年 | 35.00年 | +2.85% |
| 3% | 24.00年 | 23.45年 | +2.35% |
| 5% | 14.40年 | 14.21年 | +1.36% |
| 7% | 10.29年 | 10.24年 | +0.40% |
| 8% | 9.00年 | 9.01年 | -0.07% |
| 10% | 7.20年 | 7.27年 | -1.00% |
| 15% | 4.80年 | 4.96年 | -3.22% |
| 20% | 3.60年 | 3.80年 | -5.31% |
年利5〜10%では誤差が約-1.0%〜+1.4%の範囲です。8%付近ではよく一致しますが、低金利・高金利になるほどずれが広がります。
使える場面と使えない場面
72の法則が使えるのは、一定の複利利率を仮定して元本の倍化年数を概算する場面です。預金や固定条件の例を比較したり、複利の大きさを暗算したりする用途に向きます。
- 毎年変動する投資: 平均利回りだけでは価格変動の順序や損失を再現できません。
- 積立投資: 各入金の運用期間が異なるため、積立総額全体が同じ年数で倍になるわけではありません。
- ローンやリボ払い: 返済、手数料、追加利用があるため、元本を放置する倍化式とは別の計算が必要です。
- 税引後・インフレ調整後: 税の発生時期や実質利回りを別に計算する必要があります。
複利計算機で確認する
複利計算機では、初期元本、毎月の積立または取り崩し、名目年利、複利頻度、期間を入力して、税引前の残高推移を試算できます。72の法則と、選択した年複利・月複利・日次複利それぞれの厳密な倍化年数も併記します。
一定利回りの仮定を比較するための計算であり、将来の投資成果や老後資金の継続を保証するものではありません。
参考文献・ソース
記事作成に関する注記
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